お元気ですか?セイブンです。
「ウルトラセイブン!」のセイブンです。
ハイ、又お会いしましたネ。
それじゃア映画評論家の淀川長治だ(笑)。それはいいとして....。
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今日のメルマガは、前回のメルマガ「ミュージシャンは僕の心の友」でも少しご紹介した、アメリカのバンド。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドについての記事です。
ミュージシャンは僕の心の友。
特にルー・リードみたいな人が、まさにそうだ...と書きました。
(ルー・リード=ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの中心人物.)
前回のメルマガの終わりでネ。
ほんの少し前に、そのメルマガを書き終えて配信したばかりです。
なので、そこで盛り上がった感動的な気持ちがまだ心にあって、このバンドの名前を今思っただけで、僕は胸がいっぱいになっています。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド。
僕にとっては、忘れる事なんか到底できない名前です。
決して出来ない。絶対に出来ない。
僕がこのグループの曲を最初に聴いたのは、高校2年の時でした。
「Heroin」という曲。ファーストアルバムに入っている曲です。
その当時はラジオの音楽番組を聴きながら、それをテープレコーダーで録音するのがしょっちゅうでした。
このラジオ放送の時も録音していて、放送中に一回聴いてから、録音で何度も何度も聴きました。
そして結局、その曲が入っているレコードを求めてレコード店に。
目当てのレコードを見つけて購入。
レコード帯には確か、「ずっと廃盤だったこのアルバムが再発になりました」という意味の事が書いてあったと記憶しています。
ただし、この記憶は全然あてになりません(笑)。その情報はヨソからだった気もしますので。
すでに書きましたが、それはこのバンドのファースト・アルバムでした。
アルバムのタイトルは「The Velvet Underground And Nico」。
この「Nico」というのは女性シンガーの名前で、マア言って見ればゲスト・ヴォーカルです。
彼女はこのバンドのレコードでは、このファースト・アルバムだけで数曲、歌っています。
ドイツ出身で、このバンドで歌うまではファッションモデルでした。
このバンドから離れた後は、ソロ歌手として活動しました。
彼女の歌う「I’ll Be Your Mirror」という曲が、僕は大好きでした。今でも大好きです。
このファースト・アルバムで曲を聴いて覚えて、その後の人生で何百回歌ったかわかりません。
聴衆に向かって、ピアノを弾きながら歌う事もしょっちゅうでした。
彼女はゲスト・ヴォーカル...と先に書きましたが、それとはちょっとニュアンスが違うんでしょうネ。
バンドのメンバー達とは区別されるけれども、レコードデビュー当時のバンドにとって、なくてはならない存在。それが彼女です。
ツアーにも同行して歌っています。
このファースト・アルバムでは、彼女は全部で3曲、リード・ヴォーカルで歌っていますが、そのどれもが素晴らしい曲です。
同アルバムの残りの曲は全部、このバンドの中心人物であるルー・リードが歌っています。
Nicoが歌っている3曲も、曲を書いたのはルー・リードです。
このルー・リードの歌が又、いいんです。
反逆的なふてぶてしい態度と、モロくて壊れやすい繊細さ・ロマンティシズムが同じパーソナリティに、同時に宿っている...みたいな。
このファースト・アルバムは、僕の生き方を変えました。
僕を変えたこのアルバムのインパクトというのは、言葉にするのがどうしても不可能なのですが。
そのアルバムを通して、僕が生きる事のできる世界観を知った...とでも言えばいいのでしょうか。
それまでには全然知らなかった、新しい世界観を。
その世界観というのは、アメリカに住んでいる今になって思えば、ある意味でとても、アメリカ的なものだったナ....と思います。
その当時はアメリカなんて行った事もなかったし、行きたい気持ちもなかったのですが。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのセカンド・アルバムというのは、雰囲気がファースト・アルバムとかなり違います。
もっとスタジオ・ライヴみたいな感じで、バンドとしてやりたい様にのびのびと自由にやっている。
彼ら流に、思い切りロックっぽい。ジャカジャカドカドカやってる。
そして、サード・アルバム。
僕、このアルバムも大好きです。
一番ポップで、聴きやすいという事もあるけど、それだけじゃない。
独自の味、独特の良さがある。
「Jesus」という曲が、素晴らしいです。
Jesusっていうと、要するにイエス・キリストの事なんですネ。
日本語で「イエス」と発音している同じ言葉が、英語圏では「ジーザス」となる。
ちなみにスペイン語圏ではこの同じ言葉が「ヘスース」となります。ここでは関係ありませんが。
興味深いのは、この曲を書いて歌っているルー・リード自身は、一生キリスト教とは縁のなかった人なんです。
そのルー・リードが、こんな言葉をメロディーにして歌っている。
ジーザス、僕の居場所を見つけてくれ
ジーザス、僕の居場所を見つけてくれ
僕の弱さをわかって助けてくれ
ダメになってしまいそうなんだ
(The Velvet Underground “Jesus”. 日本語訳・セイブン)
歌詞は、たったこれだけです。
これで全文なんですが.....
これが、グッと来るんですよ。
宗教的な形式とか教義とかは、全部すっ飛ばし。「イエスよ...」という祈りの形を借りて、ひとりの人間としての弱さ、切実な思いを露わにして、さらけ出している。
祈りって、本来こういうものなんだナ...と、心から感動しました。
さて、このアルバムの中で、最もよく知られている曲が、Pale Blue Eyesでしょう。
僕はこの曲も、大好きです。
ただ、この人が書き、歌う歌というのは、何かものすごくデリケートなニュアンスを持っていて、どんなに聴き込んでも、僕はその良さを言葉にする事ができない。
この曲Pale Blue Eyesもそうです。けだるい様な雰囲気の中で、やるせない様な言葉が綴られていく。静かに。淡々と。哀しく。
“I’m Set Free”これも、名曲です。でもこの曲も又々、何とも言えないニュアンスの表現。
これこれこういう事を歌っているんですヨ...という様な要約が、メチャクチャしにくい。それはもう不可能な位に、説明しにくい。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌は、どれを取ってもそうですね。「白黒ハッキリさせようゼ」みたいな、ストレートな心情表現がない。
どっちつかずで、「こうだ」と断定をせず、両極の間をさまよう...みたいな。
それが多分、このバンドの音楽が「僕の生き方を変えた」理由なのかナ...と思いました。たった今。
僕、それまでは典型的な「白黒ハッキリさせようゼ」人間でしたからネ。
究極「白」と究極「黒」の間に限りなく広がっている灰色の領域。グレイ・ゾーン。
究極「白」と究極「黒」の間のどこを見るかによって、白と黒の、ふたつの色の割合も全く違う。
「黒」極に近づけば近づくほど、灰色は灰色でも、黒っぽい灰色。
その逆に「白」極に近づけば近づくほど、灰色は灰色でも、白っぽい灰色。
その、白色と黒色の割合が限りなく違う灰色のグラデーションの無限段階を、右に左にさまよい、たゆとうのが、ヴェルヴェットアンダーグラウンドの音楽です。
コレ、通じているかどうか自信がありません。僕の説明の言葉。
でもルー・リードという人は、それを意図的にやっているんだと思います。
別の言い方をすれば、こんな感じ。
「コレが正しい!ハイおしまい!」ではなく、「コレは間違いだ!ハイおしまい!」でもない。
その間にある、正しいとも間違いともつかない、リアリティの世界。
否定も肯定もされず、すべてがただ存在している世界。
その、あるものがそのままある世界をあるがままに見て、それをそのままで、客観的にただ表現しようとしたのが彼、ルー・リード。
そして彼ら、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドだったんだと思います。
今こんな事を思うんですネ、僕。
そんなにすべてがすべて、「マル」か「バツ」のどちらかで片づけられますか?
僕達の多く、僕達のほとんどはそれをしている。見るもの聞くもの知るものひとつひとつに、マルかバツのどちらかをつけている。
でも事実の世界・リアリティーの世界には、マルもバツもない。
「マル」「バツ」っていうのは単なる僕達の見方・判断ですからネ。
それを越えた世界をルー・リードは音楽で表現しようとした。
少なくとも僕にとっては、その様に感じられるんですね。
さて、それでは又、彼らのレコード=アルバムの話に戻ります。
バンドが解散したずっと後に発表された2枚のアルバムの事は、このメルマガの前の方でご紹介しました。
この2枚のアルバムというのが、又ものすごくいいんですヨ。
でもコレ、ちょっと考えて見て下さい。
サッパリ売れなくて結局、解散しちゃったバンドですよ。彼ら。
そんなバンドの未発表音源なんて、普通だったら、モロにクズ。
クズもクズ、ゴミもいいところですよ。聴けたもんじゃない。
だいたいそんなもの、まずレコードになる事もないでしょうけど、なったって、ロクなもんじゃない。
....なんて書いてて、僕は訳あって胸がいっぱいになりました。
グッと来ちゃって、涙腺ゆるんじゃって。涙目です。本当に。
音楽ファンってそういうものです。バンドにもその音楽にも、個人的な思い入れがいっぱいでネ。
そんな僕が、声を大にして言いたい。世界中に向かって。
未発表音源を集めた、このバンドの2枚のアルバム。
朝の光で水面がキラキラ輝く様な、珠玉の名曲がいくつもある。
こんな名曲の数々が長年お蔵入りで、危うく陽の目を見ないで終わるところだったなんて。
“Stephanie Says.” “I’m Sticking With You.” “Ride Into The Sun.”
“We’re Gonna Have A Real Good Time Together.” “ I Can’t Stand It.” “The Temptation Inside Your Heart.”
もう、曲名を思い出すだけでジーンと来る。そんな名曲がズラリ。
と書いたところで、このメルマガの執筆者である僕は「サテ、このメルマガ、ここまでの文字数はどの位かな?」と思う訳です。
でチェックして見たら、だいたい5千字くらいでした。ここまで。
でももっと書きたい。書く事がいっぱいある。いくらでもある。
ソリャそうです。子供の頃からずっと、うれしい時も悲しい時も楽しい時も、いつだって彼らの音楽が心にあったんですから。
僕はずっと、このバンドの音楽を胸に抱きながら生きて来た。
好きな歌は口ずさみ、ピアノやギターを弾きながら人前で歌ってもいた。
だから過去のどの時にも、彼らの歌の思い出がいっぱいです。
このバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドだけではなくて、その中心人物であったルー・リードのソロ・アルバムにも僕は思い出がいっぱいあります。
でも今思いついたんですけど、それについては単独のテーマで、次のメルマガで書こうと思います。
という訳で、今回のメルマガのタイトル/テーマは「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」でした。
書いていて胸が熱くなりました。
今もまだ熱いままで終わります。
今回も最後まで読んで下さって、本当にありがとうございました。
じゃあ、又すぐに書きますね。
どうぞお元気でいて下さい。
それではさようなら。
ウルトラセイブン!のセイブンでした。
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